『素描展』?ですよね。 ちょっとマニアックで面白い展覧会だと思います。
世界最高峰の『素描』やって来ます。約80点も観ることができる貴重な機会。
「国立西洋美術館/素描コレクション展ーにルネッサンスからバロックまで」について
今日はお話します。どうぞ最後までご覧ください。
国立西洋美術館「素描展」の素描とは?
『素描』ばかりを集めた展覧会、とても興味をそそります。
『素描』って?と思った方もいらっしゃいよね。
そもそもの『素描』とは?
素描/そびょう
黒・セピアなどの単色の線で物の形象を表し、また陰影をつけた絵。
絵画の習作や下絵として描かれるが、完成品としても鑑賞される。
製作にとりかかる最初に表現されたもの、といったかんじでしょうか。
私は「素描」とは、
下書きのようなものでもあり、どう捉えているか、どう描こうか、
感覚や思考などを内にあるものを手探りで表現したものと思っています。
なので完成した作品にはあまり観ることができない
模索、迷いとか、創る人の頭や心が感じているだろうことを
想像したりできるのが、『素描』の魅力だと思っています。
あの巨匠の頭や心の中が、垣間見れるなんて面白い!
ちょっとマニアックな展覧会ですが、私個人的にはとても楽しみにしていました。
国立西洋美術館「素描展」の見どころは?
展覧会の構成
「素描」について解説のフロアーから始まります。
使われていたペンやインクなど道具や画材について、
どこの地域で描かれたかなど説明されていました。
展示構成は4章
イタリア、フランス、ドイツ、ネーデルラントの地域に分けて構成されていました
1章イタリア 見どころ
15世紀のイタリアでは、紙が普及し素描の数が急増し
16世紀には、独創的でより洗練された作風がみられるようになります。アンニーバレ・カラッチ
《画家ルドヴィーコ・カルディ、通称チゴリの肖像》
赤のチョークが印象的な作品です。
柔らかい筆致から肌の温かみと衣服のしなやかさが伝わります。
フェデリコ・バロッチ《後ろから見た男性の頭部》
勢いのある筆致はとても力強く躍動感があります。
ジョヴァンニ・ダ・ウーディネ スズメのスケッチ
とても可愛い。輪郭線がなく水彩、チョークであたりづけされているだけですが
躍動感があって空を飛んでいるようです。
2章フランス 見どころ
パリ南東のフォンテーヌブローの宮廷を中心に活躍した画家たちの素描から
フランス・バロックを代表する画家たちの素描まで
ニコロ・デッラバーテに帰属 蛙男
蛙男は劇の登場人物で舞台の衣装デザインと考えられている作品
鱗を思わせる衣装がとてもユニークでかつ華やかな印象も
ジャック・ベランジュ《逍遥するカップル》
輪郭がなくあたりだけをつけたような、一見ラフな感じがするが
楽しげな雰囲気が伝わってくる作品
ルネ・ショヴォー《テッシン邸大広間の天井のためのデザイン》
スウェーデンの国王付き建築家のニコムズ・テッシンが自邸の天井装飾のためのデザイン素描
これが素描なのか?と思うくらい繊細で緻密な作品。
金泊まで使われているのでとても豪華です。
3章ドイツ 見どころ
ドイツやドイツ語 地域の作品
グリーンネベルトとバルドング グリーンの老人と青年の頭部習作
デューラー 若い女性の肖像
とても繊細で緻密な線は肌の質感や肉感が感じ取れます。
《右を向く馬の頭部》
表情が豊かで、怒っているようにも、とぼけているようにも見えます。
血管まで細部にわたって描写されている作品
4章ネーデルラント 見どころ
現在のベルギーやオランダに当たる地域
聖書の物語、風俗、風景、動物を書いたもの作品
ヘンドリク・ホルツィウス《自画像》
複数の色によってより生身の人間のように表現された作品。
特に目の表現が繊細かつ緻密で、見ていると吸い込まれそうな感覚になる。
コルネリス・フィッセル《眠る犬》
穏やかに眠る犬。赤と黒だけの色彩なのに茶色や白色まで見えてくる作品。
独特な筆致が犬の毛並みだけでなく、
お腹を膨らませて呼吸する息遣いまで聞こえてくるようです。
レンブラント・ファン・レイン
《ティティア・ファン・アイレンブルフの肖像》
褐色で光と影を描いた作品。
さすがとしか言いようがない描写力です。
レンブラント・ファン・レイン《キリスト捕縛》
細部は全く絵ががれていないのに細部まで見える作品
特に真ん中に立つイエス・キリストの描写は細部までされていないが堂々たる姿が見れます。
回りの群衆の1人1人の切迫した動きと対照的で威厳までも感じる作品です。
ちなみに私がきになった作品は
イタリアでは「空飛ぶ雀」「老人とその他の頭部の習作」「右腕と手の習作」「ウィルギニアの死」
フランスでは「蛙男」「カピターノのための習作」「テッシン邸大広間の天井のためのデザイン」
ドイツでは「右を向く馬の頭部」「髭のない老人の頭部」
ネーデルラントでは「旅人と牛飼いのいる森林地帯」「キリスト捕縛」「ティティア・ファン・アイレンブルフの肖像」
人というより、構造がわかる『人体』が好きで、
頭部や腕には無条件に惹かれてしまいます。
レンブラントはちょっと感動しました。
国立西洋美術館「素描展」の所要時間は?
スウェーデン国立美術館/素描コレクション展」の所要時間は
興味ない人だとおそらく30分もかからずに観終わってしまうかもしれませんが
好きな人だと1時間以上かかるのではないでしょうか
選りすぐられた作品約80点、
作品数だけで言うとから結構多いと思います。
中にはルーベンスやレンブラントの素描も含まれている…
これはじっくり観たいところではないでしょうか?
サイズはさほど大きくないですが
細かい線、鉛筆使いなど詳細を観て感じるとなると
時間がかかると思います。
「素描」好きな私は2時間ほどかかりました。
写真撮影可なのでさらっと流し見する人が多いかな?と思いきや
みなさんもじっくりと見ていました。
もしかしたらこの展覧会、
有名な画家や作品が観たいからだけで来る人はあまりいなくて
「素描」に本当に興味ある人が来ているのかな?と感じました。
国立西洋美術館「素描展」の混雑状況は?
スウェーデン国立美術館/素描コレクション展は
大混雑ではないですが、思ったより人は多かったです。
あまり途切れることなく作品に沿って人がいました。
私は展覧会が始まって1週間ほど経った平日、金曜日の午後に行きました。
ちょっとマニアックな展示と思っていたので
どのくらいの人が来てるだろう?と興味深々でした。
思ったより人が来ていて、インバウンドの方も多かったです。
さすが『国立西洋美術館』ですね。
金曜日は夜間も拝観ができるので、
夕方以降もひっきりなしに人が来ていました。
国立西洋美術館「素描展」のグッズは?
『国立西洋美術館』を入ってすぐに
素描コレクション展のグッズ売り場がありました。
展覧会を見ていない方も購入することができます。
図録、作品のポストカード、複製画、はもちろん
定番のノート、クリアファイル、ボールペン、
面白いところでは、作品がプリントされた小袋の入浴剤、豆皿、コップ
ファッションではトートバック、Tシャツ
コラボグッズでは
ヨックモックとコラボしたクッキー缶やハンカチ専門店とコラボしたハンカチ
ドリップコーヒーやビーフカレー、歯ブラシなど
沢山のグッズがあり、
見ているだけでも楽しいラインナップでした。
国立西洋美術館「素描展」のチケットは?
『スウェーデン国立美術館素描コレクション展』は
予約が不要な展覧会です。
ここからも少しマニアック感が感じ取れます。
だからといって当日窓口で購入するのは、時間がもったいない!
スマホがあれば事前にオンラインチケットが購入できて
当日の入場もスムーズにできるので
事前に購入しておくのをおすすめします。
♦私はスマホで前売りオンラインチケットを購入しました。
スムーズに入れるのがやっぱり魅力です
当日券の販売窓口は、
金曜日の夕方前それほど並んでなかったです。
常設展の窓口も、
特別展の窓口もほとんど並んでいませんでした。
ちょっと観察してみたところ、
窓口で買っている方は、インバウンドの方が多かったように思います。
観覧料
一般 当日 2,000円 前売り 1,800円
大学生 当日 1,300円 前売り 1,200円
高校生 当日 1,000円 前売り 900円
※前売料金(5月29日(木)10:00から6月30日(月)23:59まで
国立西洋美術館へのアクセスは?
『国立西洋美術館』は上野公園の中にあります。
上野公園って広いんですよね。
使う電車、地下鉄によって
最寄り駅から『国立西洋美術館』までかかる時間は大きく変わります。
・JR上野駅…公園口→徒歩1分
・京成上野駅…正面口→徒歩7分
・東京メトロ銀座線・日比谷線…7番出口→徒歩8分
1番わかりやすく近いのは『JR線/上野駅』を使うことです。
上野駅の『公園口改札』を出ると目の前がもう上野公園
真っすぐ、1分ほど歩くと右手にあります。
他の路線では
●都営地下鉄大江戸線『上野御徒町駅』 徒歩約15分
ここからだとアメ横を通ることができるので
少しお買物を楽しんでから美術館へ、または帰りに立ち寄るなんてこともできます。
●東京メトロ千代田線 根津駅/徒歩約20分
ここからだと不忍池を散歩して、上野東照宮を観てなど
散歩や観光してから美術館に行くことができます。
今の季節蓮の花を観ることができるので立ち寄るのもいいですね。
国立西洋美術館「素描展」の注意点は?
【注意点】
・寒い 温度が低めです。羽織るものがあるといいです
・暗め 作品保護のため照明が暗めです
・細かい 小さくて細かい作品が多いです。必要な方は眼鏡を忘れずに
・再入場不可 もし疲れたらフロアーごとに椅子があるので休みながら観ることができます
・ロッカー 1階のロッカーは埋まっていましたが、地下のロッカーが空いていました
・常設展 『国立西洋美術館の常設展』は充実度がすごいです。
国立西洋美術館 「素描展」の感想と展覧会概要
国立西洋美術館 「スウェーデン国立美術館/素描コレクション展」は
画家の頭の中、試行錯誤が垣間見れる
ちょっとマニアックさが感じられる展覧会でした。
好きな人にはたまらないと思います。
ごった返すような混雑はなさそうなので、じっくり観ることができると思います。
充分に時間をとって、常設展も合わせて観ることをおすすめしたいです。
「スウェーデン国立美術館 素描コレクション展—ルネサンスからバロックまで」
■会期 2025年7月1日(火)〜9月28日(日)
■会場 国立西洋美術館 企画展示室
■住所 東京都台東区上野公園7-7
■開館時間 9:30〜17:30 (金・土曜日は20:00閉館) ※入館はいずれも閉館30分前まで
■休館日 月曜日 7月22日(火)、9月16日(火)


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