松濤美術館/井上有一の「書」レビュー。所要時間や見どころなどについて

平面・絵画

『書』の作品ってどんなイメージですか?
井上有一の『書』を始めて作品をみた時、こんな『書』の表現があるのか!と衝撃を受けました。
『字』にこんな魅力があるのかと知りました。
【井上有一の書と戦後グラフィックデザイン1970S−1980S/松濤美術館書】について
今日はお話します。どうぞ最後までご覧ください。

 

松濤美術館/井上有一の書と戦後グラフィックデザイン1970S−1980Sレビュ−。見どころや感想

初めて井上有一の『書』を観た時に
こんな凄まじい『書』の表現があるのか!と衝撃を受けました。

びっくりどころではなかったです。
衝撃すぎて、立ちすくみました。

今回は井上有一の『書』グラフィックとの関わりの中から生まれた作品の展覧会。
また新たな魅力が発見できるかも!と楽しみに行ってきました。

 


展示フロアー2階地下1階です。
2階が第1会場
地下1階が第2会場になっています。

 

2階の方は『書』をメインに展示されていました。
《序章》 『花の書帖』とその周辺

グラフィックとの関わりの展覧会だからか、
《序章》にグラフィックデザイナーとのコラボで作った作品集が取り上げられていました。
『書』の作品集とは思えない装丁と、装丁に使われたオブジェ
『書』の展覧会とは思えない入り口です。

 


《第一章》 そこで生きている書 1940 年代~1950 年代
1940年から1950年代の
第4回サンパウロ・ビエンナーレに出品され、評価された『愚徹』など、
代表作をはじめ、初期の作品が展示されています。

 

『宮沢賢治詩 雨ニモマケズ』は有名な宮沢賢治の詩ですが
至る箇所、間違いを消すかのように黒く塗りつぶされています

普通なら失敗作になると思うのですが
その黒く塗りつぶされた箇所も雨のようなリズムがあるようで
独特な存在感のある作品として成立していました。

 

《エピソード》で印象に残ったのは
画家になりたかったけど、貧乏でお金がなかったので教師になった。
でも画家を諦めきれず
【絵を描く
】に近くて、先生でもできるから『書道』を始めた

やりたいことの中で何ができるかを考えて、できること突き詰めた
根本に『絵』の思いがあるからでしょうか
やはり、井上有一の『書』は表現する『書』だと思いました。

 


第二章 技法としての書 1960 年代

忙しい日常生活の中でも、自分の作品を追求し創作する
工夫と苦労からひたむきな情熱が感じられます。

筆の痕跡が残こすための墨
膠やボンドを墨に混ぜて描いています。

毛の1本1本や筆さばきや痕跡から、息遣いまでもを感じらる作品郡です。

 

一文字を大きく描いた見ごたえある作品の他に
井上有一が聞いていたレコードの自作のインデックス
コラージュした紙に曲名が描かれているのですが、カッコいい
デザイン性があってセンスの良さが見れました。

 


地下1階
第三章 複製技術としての書 1970~1980 年代 

高い天井の上の方にも作品が展示されていて、見上げます
空間自体デザインされたようでした。

ここでは、1970年以降グラフィックデザインによって
井上有一の『書』が一気に大衆に広がっていくなかで

没後カリスマ的存在になっていく展開が『書』の作品と、
『書』と『グラフィックデザイン』がコラボしたポスターで観る事ができます

 

相乗効果というのでしょうか
『書』の文字の意味や感じることと、
デザインで使われている写真やコピーの文字の意味

いいように混じり合ってより強さが増し、心に残ります。

 


《特集》 戦争と井上有一

太平洋戦争末期の東京大空襲、このときの壮絶な経験をもとにして書かれたのが、
《噫横川国民学校》

見ていると苦しくなってくるくらい迫ってきます。
こんな苦しい作品が創作できない世の中であってほしいと切に思いました。

 

 

《終章》 遠い記憶ー夢幻記
空襲でなくなった育った町、記憶をたどり書き留め《夢幻記》
晩年の作品が展示されていました。

 

♦中でも私が心引かれたの作品は写真です
強く印象に残っています。

井上有一、本人の写真は物凄くカッコいいです。
書いておそらくボツにしただろう紙を抱えて立っている姿

正面と後ろ姿の2枚のモノクロ写真です。
特に後ろ姿痺れます
背中が語っているようです。

 

後でですが映像で少しですが書いている場面を観ました。
正気ではないような気迫があり、怖くなりました。

 

グラフィックデザインとコラボすることで良く中和されることで
『書』のデザイン的な魅力も見えました。

気迫に満ちた井上有一の『書』の強さ
やはり凄いと感じた展覧会でした。

 

松濤美術館/井上有一の書と戦後グラフィックデザイン1970S−1980Sレビュ−。所要時間、滞在時間や混雑状況について

展示フロアーは2階と地下1階
作品数はポスターや写真、資料も含めて約120点。
それほど大きくない規模なので

平均的な60分程度の所要時間だと思います。
書に描かれている字を読むとプラス20〜30分でしょうか。

1階のエントランスにモニターがあって約30分の映像が流れています。
これを全部観るともっと時間がかかります。

モニター前に椅子はありません。壁際には数個椅子がありますが
人が行き交うのでじっくり観ることはできないと思います。

 

♦私は90分滞在していました。
じっくり観る方だと思います。
書の文字を追って読んで、解説も読んで、座って図録もパラパとめくりました。
映像は椅子に座って10分位観ていましたが、
よく聞こえなかったので切り上げてしまいました。

松濤美術館/井上有一の書と戦後グラフィックデザイン1970S−1980Sレビュ−。チケット、割引、について

チケット
松濤美術館を入ってすぐの受付で購入することができます。
オンラインチケットはありません。

♦私は『ぐるっとパス』を使いました。
松濤美術館は対象の施設で、入場無料です。
事前に購入できて、お得です

ただし、『松濤美術館』のチケット売場入場受付同じ1箇所のみ
状況によっては入場するのに多少並ぶこともあるかと思います。


割引についてですが
『松濤美術館』でいつもいいな〜と思う割引が
『渋谷区民』割引です。

入場料が2割引、しかも
毎週金曜日無料で入館することができます。
渋谷区立の松濤美術館、渋谷区民に手厚いです。

渋谷区民の方はぜひ!
この割引を利用して松濤美術館を訪れてください。

渋谷区民でない方は『リピーター割引き』がオススメです。
この『井上有一の書と戦後グラフィックデザイン1970S−1980S』は
会期が前期、後期に分かれています。

大きな作品の入れ替えはなさそうですが
それでも前期と後期で見れる作品が変わります。

全部見たい方は『リピーター割』があります。
展覧会をみた翌日以降、展覧会期中に半券を持って行くと
通常の入館料から2割引になります。これは嬉しい割引ですね。

 

割引や『ぐるっとパス』をうまく使って
お得に展覧会に行きましょう。

 

入館料
一般1,000円(800円)
大学生800円(640円)
高校生・60歳以上500円(400円)
小中学生100円(80円)
※( )内は団体10名以上及び渋谷区民の入館料
※土・日曜日及び祝・休日は小中学生無料
※毎週金曜日は渋谷区民無料

*リピーター割引/観覧日翌日以降の本展会期中、有料の入館券の半券と引換に、通常料金から2割引 でご入館できます。1枚の入館券につき、1回まで有効です。

松濤美術館レビュ−/アクセス、行き方、最寄り駅、場所、住所について

『松濤美術館』の最寄り駅はアクセスの良い『渋谷駅』ですが
1番近い最寄り駅は京王井の頭線の『神泉駅』です。

『渋谷駅』から雑踏の中15分、結構な距離ですね。

ただ今は渋谷駅も工事中で、
『渋谷駅』で他線から京王井の頭線への乗換も大変

渋谷駅から向かう場合はどちらが良いとは言えませんが
『神泉駅』最寄り駅の選択肢に入れておいてください。

 

♦私は松濤美術館へは開館と同時に入るように行くことが多いので
行きはだいたいアクセス便利な『渋谷駅』から徒歩で行きます。

駅は混雑していますが、お店がまだ空いてないので
駅から美術館までは比較的歩きやすいです。

帰り『神泉駅』を使って吉祥寺方面にでます。
いつも「神泉駅近」!って思います。

 

アクセス/交通手段
[電車]
◉京王井の頭線  『神泉駅』下車 徒歩5分
◉JR・東急電鉄・東京メトロ  『渋谷駅』下車 徒歩15分

[バス]
渋谷駅西口バスターミナル
◉ハチ公バス 「松濤美術館入口」下車 徒歩2分(丘を越えてルート/上原・富ヶ谷ルート)
「東大前」下車 徒歩2分(丘を越えてルート/上原・富ヶ谷ルート)
◉京王バス 渋65「東大前」下車 徒歩2分
渋55「東急百貨店本店前」下車 徒歩5分
◉都営バス 渋66「東急百貨店本店前」下車 徒歩5分

松濤美術館
東京都渋谷区松濤二丁目14番14号

松濤美術館/井上有一の書と戦後グラフィックデザイン1970S−1980Sレビュ−。まとめと展覧会概要

気迫に満ちた井上有一の『書』
グラフィックデザインとコラボすることで中和された強さが見えました。

クラフィックデザインにはない『気迫』
だからグラフィックデザイナーから深く愛されたのでしょうね。

井上有一の『書』の強さと迫力魅力を感じずにはいられない展示でした。
書』をされている方『書』デザイン好きな方オススメしたい展覧会です。

 

写真撮影不可なのでしっかりと目に心に焼き付けてください。

 

井上有一の書と戦後グラフィックデザイン 1970s-1980s
■会期 2025年9月6日(土)~2025年11月3日(月・祝)
前期:9月6日(土)~10月5日(日)
後期:10月7日(火)~11月3日(月・祝)
■休館日  月曜日(ただし祝日の場合は翌日が休館)
■開館時間 午前10時~午後6時(金曜のみ午後8時まで)※最終入館は閉館30分前までです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました